箱/はるな
おかしな箱だなと思ったところで目が覚める
わたしは眠っていたわけではなかったのだ
かわいいあの子がスカートにスープをかけられてるときや
足が遅くて詰られた子が来なくなったとき
集合時間をごまかされてひとりぼっちだったときも
帰ればかならずおそろしいきょうだいがいて
なにからなにまで逆剥けにされることがわかっていても
眠っていたわけではなかったのだ
けれども気がつけばこんな箱のなかにいて
出ていくことも居続けることもかなわないと
なぜだかそうおもいながら目が覚めている
覚めている、覚めている、そのつぎに動かさなければならない
手や足を、見つけなければならない
ぼんやりと
夢を片付けているところに
きれいに飾った女が
あと9分しかない
と言って乗り込んでくる
戻る 編 削 Point(2)