水晶の空/ひだかたけし
 
冬の凍空
水晶の塊となり
浮かんでいる
難破した砕氷船が沈んで
空のクレヴァスに紡がれる
大きな心の屈曲を抱え
帰港すべき場所を探す

空のクレヴァス突き抜け
漆黒の宇宙を見出すとき

輝く無数の星に
共属する声の木霊を聴く
疾走する線、停滞する点
溶解して折り重なり
光溢れる孤独の心に
大いなる恵みを施す

 突き抜けろ、
 混濁の渦に呑まれながら

水晶の空が祈っている













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