gastronome 51-60/AB(なかほど)
 
 
ひとりで飲み屋に入る今日の幸せが
奴さんだったりトマトさんだったり
糠漬け様だったり
 
  
 
ラビのパンの話を覚えている
僕もポケットに
ときどきにぎっている気持ちがある
 
 

ひとつずつ酸っぱい思い出を口にして食べると
より甘く感じるけれど
三つめの思い出で泣いてしまいそう
 
 
 
ありふれた言葉でゼリイをつつくと
湿ったにおいの味がするので
特に大粒ブドウのゼリイは一心不乱に平らげる
 
  
 
あまり目にしない柄の缶を手にとる人の家には
けっこうなんでも受け入れる猫がいるのだろう
うちの子もそうだった
 
 

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