なぜ これほどに/刑部憲暁
 
なぜ これほどに哀しいだろう
秋は雨粒の輝きのように
軽々と走り去り
数々の贈り物を
私の町に残していった
その道を
にこやかな天使が歩み来るのに

あなたが私の朝となり
あなたが私の夜となる

あなたは確かに微笑みつづけるように思われ
あなたは止めどなくやってくると知れる
その時
時は大理石の円柱にあり
刻まれて 逡巡を繰り返し
深い影をその身に纏うのだ

ああなぜ これほどに寂しいだろう
あなたが私の朝となり
あなたが私の夜となる

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