夜が騙している/ホロウ・シカエルボク
のような陽気さをまとった酔っ払いたちが汚い声を張り上げながら通り過ぎて行く、時々は道端で痴話喧嘩を始めるチープな恋人たちの会話が一言一句まるまる聞こえ続けることだってある、だから、部屋の灯りを点けないことに決めた、すると俺は簡単に眠れるようになった、眠りの在り方に気付いたとき、俺は街に認知されたのだ、いつも、日付変更線の前に床について、数時間眠る、一度目覚める、その時までにとても鮮明な夢を見ている、奇妙さだけがいつまでも、庇の下の蜘蛛のように静かに居座っている、そんな夢を―記憶など信用出来ない、過去は必ず感情によって捏造されている、そうでなければ生きていることに意味など見出せない、街の暗闇は、静寂
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