gastronome 41-50/AB(なかほど)
 

微分したキャンディーは溶けて
積分した気持ちは夕焼けに
またひとりの友が溶けてなくなった夜に
 
 
 
泣き屋はパンを返してくれた
そのパンは固くなってしまって
食べるには自分の涙が必要だった
 
 
 
赤いほっぺたの頃へと続く夜が
いつまでも車窓を流れるさよならおやすみと
りんごの落ちてくようながたんごとん
 
 
 
お祝いに山羊をつぶした
生まれたときはとても可愛いしろだった
誰ともなく唄い始めた
 
 
 
少女しばし酒を醸めともに酒を醸め
誰の杯も花の降るうち干からびぬよう
そのわき立つ泡にひとひらふたひらのさくら
 
 
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