冬の詩人 2023/丘 光平
 

  「冬の詩人」



  やがて 
  夜明けはおとずれ
  薄暗い空へ 一羽 また一羽
  飛びたってゆくとりたちのざわめき

  眠らない草花で 
  静まらない木々の枝葉で
  つめたくめざめた陽は ひらきはじめて


   ただ 星のように黙っていた
  あなたは どこへもゆかない
  あなたは なにも悲しまない


   なぜ求めているのか
  わからなくなる痛みも
  なぜ降りつづけるのか
   とまらなくなる渇きも


   たずねるといい
  初めておぼえたことばのように
  ゆるすことも
  ゆるされることも
  初
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