継ぐ手/塔野夏子
壊れた
あるいは
壊した季節
散らばる破片を
君は今は
振りむかずともよい
君が遠くを歩いているあいだに
それをそっと
継ぎ合わす手がある
月と星の光を熔いたもので
ひとつひとつ
丹念に
そうして継ぎ合わされた季節は
もとの季節より
すこし歪で
壊れた
あるいは
壊した痕跡が
夜に仄かに光るだろう
いつの日か君が
ふたたび戻ってきて
それを目にするときに
おのずと知るだろう
それを継ぎ合わせた双つの手が
静かに合わさり
祈りのかたちとなっていることを
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