海螺珠の心臓/あらい
 





月経の紅葉 (エロスは博打を好まない)
   ひらかない、またのくせにこちらを見つめている
腸詰めの桜 (ぴかれすくろまん)
   しめつけ。ちぐる。なんにもならけて、斑(フ)く
金木犀の中絶(ぎらぎらとした、ちんば)
   おばけよりおそろしいもの 顔を歪めた星譚




            祈りも殺した季節を躯で憶えている
                反転した砂時計を製糸する
               烙印の在り処は鼻歌に重ねる




海螺珠(コンクパール)の心臓/シルエットは騙(かた)る




           たとえば、裏庭の 屋根裏
             かさぶたのうみは砂嵐がなかった
           あと、空腹のさなかにあって、
                でたらめの十五夜に夢見て、
           また、ささばたけの雪女はとおくなる
                  ながかった 老婆の屍

戻る   Point(1)