海螺珠の心臓/あらい
 
               何重にもある足を腕で抱える

                      子守唄だろう、
                 すっかり とおくなった

                円のしたで 視覚のうえで


  ひらいたまぶたがつぶれた眼球に軟らかいから
  夜雨の外れを研き、ひなたの肌を解く 
  雨(ウ)は 皮革の肢体をえぐります

(しろあめのヴィジョン)

地を踏み固める、てのひらは器具だった
救いようがないパラフィン紙が受胎したパビリオン
(くらくらとしたわをん)
こわれたりはがれたりした 破片、渇いた造形美

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