Time Was/ホロウ・シカエルボク
 
るかのような―戯言―街がまだ動き始める前なら音声だって聞くことが出来る、そんなにたいしたことは言ってないけれど…もう何度この街を歩き、あちこちの店を覗き込んだだろう、俺の興味を引くような店はほとんど無くなってしまった、婦人服の店や、ネイルサロン、高級文具屋、コンビニエンスストア、焼肉屋、酒を飲ませるところ、女を弄べるところ―つまりそれがこの街のすべてだ、辛抱強く開け続けていた雨具の店も先日軒を畳んでしまった、三度その店で買物をしたことがある、レインコート、店頭のビニール傘…つまり、そういうことだ、近頃は余所からやって来た人間がそれまで見たこともないような洒落たデザインのスイーツやコーヒーの店が次々
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