Time Was/ホロウ・シカエルボク
く簡単になりたがる、でも聞いてくれ、時代錯誤だと思われてもいい、あんたの部屋の剥き出しの壁は、所狭しと本や雑誌が詰め込まれた本棚に勝ることなんて決してない、死した後で部屋に残されるもの、それが人生の証拠だ、もしも俺がくたばる時が来たとしても、俺は何も隠したりしない、すべてを置いて現世から出て行くよ、色褪せたブコウスキーやブローティガン、アルバート・サムスンのシリーズ、丸尾末広や楳図かずお、もはやタイトルを列挙する気にすらなれないたくさんのコンパクト・ディスク、どうせ俺は用意周到に死ぬことなんか出来ない、俺の人生は断線のように終わるだろう、だったら悪足掻きなんかしないよ、死ぬ間際になってそんなことを初めても遅いんだ、俺は生まれた時からずっと悪足掻きを続けているんだぜ、自動販売機で甘い炭酸の飲物を買う、飲み干して、空缶を捨ててしまえば一日はもうラストランへのアップを済ませている。
戻る 編 削 Point(2)