Time Was/ホロウ・シカエルボク
かに引っ越してしまってもとあった場所には車の修理工場が出来ている、そんな仕事をしていたことなどすっかり忘れていた、ご多分に漏れず、あまり面白い仕事ではなかった、夜明け前、月と街灯の灯りだけで彩られた古臭い街は、どこか知らない国のように見えた、あったという間に病院に着いてしまったから、そんな景色のことはすっかり忘れてしまっていた…思い出してしまえばまるで昨日のことのようだ―年寄の夫婦が座るところを探していたので何も言わずにベンチを離れた、大手のカラオケ屋の屋上に設置されたオーロラビジョンが音声無しで地元の店舗のCMをひたすら垂れ流している、まるでこの街が豊かで、希望に満ち溢れていて、愛を感じさせるか
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