Time Was/ホロウ・シカエルボク
停留所からバスが走り出した瞬間に、ずっと昔見た夢を思い出すような漠然とした感覚が迷子になっていることに気付いた、噛んでいたガムを捨ててあまり混んでいない喫茶店を探す、近頃じゃそんなことさえままならなくなった、餌を食らう牛や豚みたいに横一列になって座る店が増えた、といって、やたらと気取った名前の、注文に時間が掛かるコーヒーなど飲みたくもないし―カップに入った当り前のコーヒーが飲みたいだけなんだ、そういう時はメイン通りから一本、道を外れてみるといい、どういうわけかそんな通りには必ず草臥れた喫茶店が必ずある、ドアを開けるとカウベルの音が聞こえる、懐かしい、俺はジャストな世代じゃないけれどそう感じる、
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