ふざけてるのか/石川湯里
 
時間が早いせいで客は私一人。もともと狭くはない店内が、ひときわ大きく、異様な空間にも思えました。誰に促されるわけでもなく、私は壁に背を向けるように端のテーブルにつきました。
水をもってきた外国人の男の給仕に、一番安いランチを注文しました。チキンカレー、ナン、サラダ、ソフトドリンクで800円、このご時世では幾分良心的な金額だと、自分の選択に満足していました。
給仕は厨房の方へ行ったと思うと、何やら奇妙な音楽が流れてきました。音のする方に目を遣ると、向こうの壁にテレビが一台設置されていて、そして私の頭上にも同じものがあることに気付きました。
向こう側のテレビには淡い青や緑の肌をした豊満な女性のア
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