自尊心/涙(ルイ)
な
という 暗黙のルールだった
行くあてもなく 暮れ行く街を歩き回った
お腹が空いたのでマックに入って
一番安いハンバーガーを注文した
本当はオレンジジュースとか
ストロベリーシェイクとかいうものも飲んでみたかったけど
お金がないから我慢した
となりの席では若い親子連れが
ニコニコしながら 季節限定のハンバーガーセットを
美味しそうに食べていた
とても幸福そうだった
実際は違うかもしれないけれども
彼女にはたしかにそう見えた
おかあさんはよく
あんたさえ出来なければ
もっと違う人生を歩めたはずだったと
お酒に酔うと必ず愚痴をこぼしていた
余所のおうちでも
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