自尊心/涙(ルイ)
ていない
買ってほしいなんて口が裂けたって云えっこないから
ほしいとも思っていないふりを続けていた
この学校はお昼はみんな弁当持参だった
みんなそれぞれに色とりどりの
かわいらしい弁当を見せ合いっこしていた
彼女にはお弁当を作ってくれる人がいなかった
別に死んじゃったとか 出て行っちゃったとか
そういうんじゃない
ただ作るのが面倒っていう
それだけの理由だった
彼女はいつも コンビニのおにぎりとお茶を
教室の隅でこっそりと隠れるように
ひとりで食べていた
ひそひそ ひそひそ
あいつ いつもコンビニおにぎりだよ?
あそこん家の母親 夜のショーバイしてるから
カワ
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