きのこの山・たけのこの里/猫道
僕が家に帰ってきて、ランドセルを置くと、お父さんは言いました。
「お前またタケノコと遊んできたのか。あんな奴らと付き合うとロクなことはない。」
僕が返事をする前にお父さんは先を続けます。
「タケノコの奴らは放っておくとすぐ根を張ってはどんどん増える。
皮を剥いでもまた皮で、中身がない上嘘つきだ。」
最近、学校のクラスにはタケノコが増えて、僕らキノコと同じくらいの数になりました。
「キノコには何と言っても将来性がある。マツタケやトリュフのように高収入をめざすことだって
夢じゃない。だからお前も必死で勉強しなさい。」
父さんは何かとタケノコに負けないようにと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)