きのこの山・たけのこの里/猫道
 
僕が家に帰ってきて、ランドセルを置くと、お父さんは言いました。

「お前またタケノコと遊んできたのか。あんな奴らと付き合うとロクなことはない。」

僕が返事をする前にお父さんは先を続けます。

「タケノコの奴らは放っておくとすぐ根を張ってはどんどん増える。
 皮を剥いでもまた皮で、中身がない上嘘つきだ。」

最近、学校のクラスにはタケノコが増えて、僕らキノコと同じくらいの数になりました。

「キノコには何と言っても将来性がある。マツタケやトリュフのように高収入をめざすことだって
 夢じゃない。だからお前も必死で勉強しなさい。」

父さんは何かとタケノコに負けないようにと
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