陽の埋葬/田中宏輔
 
屍=しかばね}。

頬に触れると、眼を瞑つたまま、口をひらく、その口の中には、
──羽虫の死骸がぎつしりとつまつてゐた。

隠水(こもりづ)、月の光つづしろふ薄羽蜉蝣(うすばかげろふ)、
──葬(はふ)りのたびごとに葬玉を産卵する岩の端(はな)。

(イハ、ノ、ハナ)

串(くすのき)の嬰兒(みどりご)、袋兒(ふくろご)の?兒(あじ)、

──わたくしの死んだ妹は、天骨(むまれながら)の、纏足(てんそく)だつた(つた)

生まれたばかりの九つの葬玉、

九つの孔(あな)を塞ぐ。

合葬。


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