葡萄/
46U
誘惑が房なして実る
秋の夜霜に甘さは深まる
罪摘むように紫紺をつまむ
唇に触れる果皮の悩ましさよ
貴方に押し当てたたなごころの狂乱
ぷちぷちとはぜる無数の果実
ああ こんなにたやすく壊れた貴方を
闇に封じて安堵した私の浅はかさ
今宵 ふたたび出逢った貴方は
血の紅で私を酔わす
呪われよ葡萄
盃の内で
誘惑者はとわに媚笑する
戻る
編
削
Point
(3)