詩人はいつも美しい/家畜人
 


今日も 鏡をみると 病人の
あおじろい顔がうつっている
あおじろい あわれな 人生に
すてられたような 顔が
ぼっとして なにか 古びて
うつっている



女はいつも うつくしい
詩人は なおうつくしいのだ
詩人は いつも 青のすきとおる 風に吹かれ
ひろびろとした海のうえ
防波堤のさきに ぽつんと たっているのだ
風が今日も つらい
人生も つらい
生活も つらい
あわれな 詩人は みな病気だ


あぁ だから いつの世も
詩人は うつくしいのだ!


今日も詩人は あわれな 病人です
あわれだ あわれな罪人だ
私の手だ 手は美しい 
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