君の新しい詩を/ホロウ・シカエルボク
 
え方は人間の数だけある、俺の詩を読んで、正しい日本語じゃないなんて感想しか持たないやつだって居るのさ、もうそんなことはどうだっていいんだ、俺に関係のある話じゃない―指先に鈍い痛み、どうやら瓶の破片で切ってしまったらしい、俺は滲んだ血を舐める、生きてることなんて不可解でしかないものじゃないか、たかだか数十年の脳味噌でどんな理屈を考えてみたところで、命の真理になんて近づけやしないんだ、そんなことも理解出来ないやつが世間には多過ぎるよね、くだらない手紙ばかりポストに投げ込まれるんだ、破れた手紙を、壊れた瓶を、捨て置かれた家屋を、俺は恋人のように抱きしめて生きる、それをみんなが俺のポエジーだって言うのさ、それは決して悪い気分じゃない、でも俺は誰かを喜ばせるために書いているわけでもない、書くときに目的なんか持っていたら、俺はとっくに書くことを止めていたかもしれないね、時々そんな風に思うことがあるよ、まあ、実際、そんな話をしてもなんにもならないけどね…ねえ、君の新しい詩のタイトルを教えてくれ、それはもしかしたら俺に新しい効果をもたらすかもしれない。

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