秋桜/本田憲嵩
 
あまりにも遅すぎた桜の並木道、
ひるがえる、むすうの落ち葉たち、
まるで、うろこが剥がれ落ちてゆくような、
つよい晩秋の風は、
アスファルトのひび割れた路面を、
女の本心のように露わにさせる、
女はついに覚悟を決めたようにそれを了承し、
黒いロールスロイスの後部座席へと共に乗り込んでゆく、
どこまでも永遠に晩秋であり続ける、
はなやかな婚礼へと向かう、


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