喪失/印あかり
 
最初からなかったかのように
あったことを忘れるくらい
少しずつなくなってしまった 
零れるとも消えゆくとも
表現しがたい喪失よ

愛おしかったのだろうか
それとも
疎んでいただろうか
どちらでもなく
どちらもそうだったような
喪失だけがそこにある
今となってはもう

いつか俺は 遠く 高く
喪失のおかげで 軽くなった体で
風船のように飛んでいこう
いつ終わりが来ても構わない
僅かな怯えさえ空を曇らすほどではなく
突き抜けるような 青い 青い 
喪失の向こう側へ


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