見上げてごらん空耳を/
ただのみきや
みにわたしは取り込まれ
魚と契るようにわたし自身が精子となって
ねじれた時の皮膚の裏を無心にさかのぼった
闇は 見上げるわたしを瞳から裂いて開いて
裏返す──月のように 白かったろうか
犬が引きずるかもしれない明日
すでに飲み干している 括れの中の聞こえない音だけが
睫毛のように雨のふりをする
*
今朝は雪
飄々と剣を振りかざす虚空をまえに
結露して わたしは座す
(2023年11月11日)
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