羽虫/草野春心
 


  約束の時間にすこし遅れて
  寂しさの続きのような場面が始まる
  駅舎の街灯に羽虫が 丸く 集る


  高架下 ラーメン屋に入る
  やがて感情は数枚の貨幣に似てくる
  触れた指を嗅ぐと 夏の宵の祭を思い出す



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