腰痛の懐妊とそれをすこしでも緩和するための詩/菊西 夕座
 
にまきついたあと
(これ以上は空気であれ腰に負担をかけないでくれ)
花へとながれて精神を美へとむすびつけてくれる
(これ以上はなんであれ腰にむすびつけないでくれ)

たましいは腰から言霊をかえしてこそ真実にいたる
(まさか言葉をつたって悪霊が腰にくだるとは)
生命もまた腰をふってこそ地上に誕生できる
(上[かみ]から下るロープをだれか切ってくれないか)
腰をふってふってひたすらふりまくってうたえよ人間たち
(もはやただの淫乱に堕する腰語こそ呪われている)

きみたち人間が真にめざめるときにこそ腰は前にある
(そうしてパンツを反対にはいてしまう自分をあざ笑え)
へその緒のごとき偽りのロープをなつかしむのはやめろ
(悪魔がいつまでも尻尾をきれない理由がこれか)
いまこそ腰をつきだして全身全霊の稲妻をこそうちはなて
(最後をしめくくるファンファーレがすかしっぺとはな)

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