とをくうつくしぶ/あらい
 
ん明かりひとつと杜
       種と仕掛けを戯(ソバ)える
     誰も彼もいないけれども
     奥へ続く未知のまえに
       その横にひとつの廷吏があり
       ある図書館の一冊から
     枝葉が満ち
     花が綻びるころ
     ものがたりははじまるのでしょう


 小娘は夢を見たのだ
   繊細に灯された蔦の先でほつと裂く
   小さな実を抱いた八重の紅が、いま
   破水しようとしている

 きみの わたしは
   靴と小物がまた
   駆け出していくのを見守るように
   とはいったものの
 野葡萄と天穹に眺め
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