古い手紙を読んでいる/竜門勇気
 

おどれがおまえらじゃやらぁクソじゃいうたもんの数だけ
へど吐かしたるからの
一緒くたに、面も見ずにいうたもんの数だけなんぼだけでも
涙の数だけ
血反吐をはかしちゃるでよう
何がお前らじゃ
わしはわしじゃボケの出来損ないが偉そうに講釈垂れよって
なにがお前らじゃカス
あんたのわき役になった覚えはねえわ

電車を一人で待っている
駅に一人で立っている
二時間後の電車を待っている
毎日ここで待っている
ポケットのガムを触っている
古い手紙を思い出している
何度も読んだ手紙を思い出している
小さな写真を思い出している
今日、これから何が起きるのか知っている
最後の安全弁がまだ閉じている
古い手紙を読み返している
小さな写真を思い出している
最後の安全弁は閉じている
恋だけが夜を食い止められる
恋だけが明日を遠ざける
僕の信仰はまだ生きている


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