……とある蛙さんへの手紙/服部 剛
にならない想いを読んで
涙を流していましたね
僕の息子に障がいがあると知ってから
さりげなくかけてくれた言葉は
今も胸の内に小さな火となり・・・灯っています
蛙さん
あなたが旅立った後の世界で
不安を数えればきりがないまま
僕等は歩いてゆくでしょう
それでも
詩人のあなたの存在を通して
哀しみはたんに哀しみではなく
やがて
一は+に変えられてゆくでしょう
あなたが世を去る、三日前
蛙などいるはずのない東京都内の駐車場で
蛙の姿になって会いに来てくれましたね
あなたが世を去る、前夜には
僕が息子を寝かせた布団の傍らで
ピアノの玩
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