僕らの夜/塔野夏子
 
僕らの夜をめぐる熟れた遊星
僕らの夜に降りそそぐ甘やかな流星

僕らはいつか来る終わりを
待ち望む気持ちを
ひそかに淡く抱きながら
今ひとときを寄りそう

銀の小さなフレームの中の
二人の写真
其処に閉じこめられた時だけが
やがてかなしく輝くことを知っていても
そのかなしみもたやすく擦り切れてしまうと
知っていても

終わりはきっと
僕らが望んでいたようなかたちでは
訪れないと
予感してしまっていても

今ひととき
僕らの夜を熟れた遊星はめぐり
僕らの夜に甘やかな流星は降りそそぐ
僕らは(僕とは 君とは 誰)
いつか来る終わりを
待ち望む気持ちを
ひそかに夢のように淡く抱きしめる


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