BEFORE AND AFTER SCIENCE/ひだかたけし
しずまりすきとほる
時空の畔に佇み
流れゆく無常
観て居ると
行方知らずのあの方
秋の透明な風に
吹きさらしのまま
駆けて来る 薄明の途を
長く華麗な影を引き連れ
しずまりすきとほる
時空の畔に佇み
狂い死んだ母親が
植物人間の父親と
しっかり抱き合い
流れ来て流れ去るを
河口の果てまで観入りながら
行方知らずのあの方の
今ゆっくり隣に座し
放つ亜麻色の芳香に包まれ
河口の果てに広がる光の海
いつのまにかゆったりただよっている
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