つづくよどこまでも/妻咲邦香
蜂蜜の小瓶にバゲットは半分の長さ
ダイハツの看板を左に曲がる
アジサシの悪口散々聞かされて
戻らなくちゃ、森だか海だか
案山子の着換えを先に済ませたら
右足あるかちゃんと確認して
帰りは安い豚こま選んで
きょうはー、つづくよー
きょうまでもー
瓦礫の下の抵抗の跡
断捨離誘う怪しい錠剤
さっきまで誰かのいた場所
微かに感じる生の湿り気よ
ペルソナの成れの果てさと
小瓶の蜂蜜また舐める
〇〇のように生きて
??のように死んでいく
〇〇と??は実は知り合いで
将来結婚の約束までしてた
みらいはー、つづくよー
みらいのうちはー
親切なカスタマセンタァ
生花の産地までメモしてくれた
外国生まれの訪問客は
わざわざ日本語の歌まで覚えて
雲は誰の忘れ物？
一種の社交辞令ですよと
最新刊までずらり揃えて自慢げに
バゲットはかちかちに乾いて
蜂蜜は残り僅か
わたしはー、つづくよー
わたしのかぎりー
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