okaeri.com 1-10/AB(なかほど)
 



魚屋の前ではきっと
夕焼けが足りないと 
うつ向いてしまうのだろう



戻って来た理由もどうでもいいので
僕も
ほんとにくさいと笑って食べた



世界の全てが優しさで包まれるように
花束と折り鶴が少しだけ風に揺れる
ように



いつまでたっても
「あの頃」
なんて言っている自分もぶらさがっている



帰り道でもない道を通って
アパートに辿り着くと
飼い主のない猫に好かれて



凸凹配位座はいつでも漂っていて
なにかの拍子に
繋ぎ合っている手のひらの合間にもある



ようやく腰を上げた門番は無精髭でにこ
[次のページ]
戻る   Point(6)