陽の埋葬/田中宏輔
。川に映った、月の光や星の光がきれいだねって言うと、マコトは、近視だから、よけいにきれいに見える、と言った。光がにじんで見えるのだ。ふたりとも近視だった。ぼくたちは、Dについて話した。Dを服用するようになって、記憶力がどんどん増していくのだった。マコトよりも、ぼくの方が服用するのが早かったので、マコトは真剣な表情で、ぼくの話を聞いていた。熱中してしゃべっている間、鳴く虫も鳴かず、流れる水も流れなかった。ぼくの耳は、ぼくの目と同じように、マコトの息遣い一つ聞き逃すまいと注意を払っていたのだ。耳というものが注意を払ったものしか聞こえないというのは面白い。目が、目に入るものすべてを見ているのではないよう
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