道の木々/番田
夜道を歩いていると、今日は、ゴロツキたちはいなかった。ゴロツキというのは、外でメシを食っていたり、ベンチに座っていたり、飲んでいたりする連中のことがそうで、心の中でそう、呼んでいた。通りに立ち止まっていると、ただ、目の前を過ぎていく人たちは、家に帰っていく。酒を飲みたいと思う。どこかに立ち寄ろうとしても、店すらも無い街で。吹かれていた風を感じながら立っていた。人のことは、何も、名前さえも知らない。木々が見えてきた。どこに、今日も行くのだろうと思う。少し道を進むと、ぼやけたような色の倉庫街が見えてくる。中はどうなっているのかと思うが、誰も見ることはできないのだろう。僕はマウスを手に取る。そんな、横を
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