苦笑い/
やまうちあつし
誰かの
苦笑いになりたい
遠い遠い朝
名前も知らない街で
銀色の少女が
荷物を置く
馬の尻尾が
風に揺れる時
あるいは
グラスの氷が時間を数え
からり、と音を立てる時
長くて短い夢の
おわりのつづき
鬣をなびかせ
扉を出てゆく
(やれやれ)
そんな誰かの
苦笑いになりたい
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