陽の埋葬/田中宏輔
 
日の暮れ方の川辺り、湯女(ゆな)の手の触るる神の背の傷痕、
  ──その瘡蓋(かさぶた)は剥がれ、金箔となつて、水の中を過ぎてゆく……


(魚(いを)の潰れた眼が、光を取り戻す、光を取り戻す。)


日の暮れ方の川辺り、湯女(ゆな)の手の触るる神の背の傷痕、
  ──その傷口より滴る神の血、神の血は、砂金となつて、水の中を過ぎてゆく……


(……、刮(こそ)げた鱗(いろこ)や鰭々(ひれびれ)が、元に戻る、元に戻る。)


神の背を流るる黄金(わうごん)の川、湯女(ゆな)の手、湯女(ゆな)の手の椀に、溢れ、零
[次のページ]
戻る   Point(8)