ラストスマイル/蝶番 灯
4月に君は
野良猫みたいにたった独りで
僕1人の部屋に来て
君はなんにも言わないで
すぐにそこを出て行ってしまって
真っ白な 真っ白な壁に
最初に飾るものが思いつかなくて
何も無い部屋に置く物も
それすら思いつかなくて
ただ独りで窓を閉めて
君はなぜかいつも寂しそうで
白いワンピースに涙落として
「大丈夫」と言う君の
笑顔をいつか見たくって
2回目に訪れた君の写真を
素敵なカメラで
撮ろうとして僕は
シャッターを下ろさなかった
もう逢えないかもしれないのに
忘れても良い
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