ラストスマイル/蝶番 灯
 

4月に君は

野良猫みたいにたった独りで

僕1人の部屋に来て

君はなんにも言わないで

すぐにそこを出て行ってしまって


真っ白な 真っ白な壁に

最初に飾るものが思いつかなくて

何も無い部屋に置く物も

それすら思いつかなくて

ただ独りで窓を閉めて


君はなぜかいつも寂しそうで

白いワンピースに涙落として

「大丈夫」と言う君の

笑顔をいつか見たくって


2回目に訪れた君の写真を

素敵なカメラで

撮ろうとして僕は

シャッターを下ろさなかった

もう逢えないかもしれないのに

忘れても良い
[次のページ]
戻る   Point(2)