歳月/草野春心
 


  川を越えて
  戻ってこなかった
  砂利になった言葉ならば
  ひとつかみにして 気のすむまで
  玩んでいられるのだが


  駅の屋根に
  ふる雪のかなしさ 静かさ 軽さ
  べつに あす死ぬわけでもないのに
  みえなくなるものの多さを
  それだけを考えている


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