初秋の気化現象に関する一報告 (旧作)/石村
 
い……)

そしてわたしは野の風にひどく錆び

からだのなかはやけにすずしくなつてゐる。

日記の表紙にでも掌をあてれば

それは青く希薄になつて真言も透ける。

《読めないぞ、読めないだらう……》

それみたことか―― わたしはすでに、

やむをえない感傷の形式に荒れて

鳥かとんびのやうにとんでみるだけだ。



     (一九九一年八月二十五日)



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