マグロライダー/イオン
海岸通りで
バイクの隊列とすれ違う
マグロは泳いでいないと死んでしまう
ライダーも走っていないと死んでしまう
のかもしれない
マグロの旨い店に着くと
黒いバイクがたくさん並んでいた
店に入ると黒いマグロ達が
赤いマグロを食べていた
マシンと旅の話が聞こえてくる
「命をかけて走って
命を味わいに来るなんてバカですよね」
自分を嬉しく否定する
食べ終えたバイクの隊列は
世間の海へと泳ぎ出した
マグロは泳いで海水をクチからエラに
通すことで呼吸しているから
泳ぐのをやめると死んでしまう
バイクも走ってバランスを取っており
走るのをやめると倒れてしまう
バイクを倒れないように支える人間が
バイクに支えられながら
世間の海を泳いでいる
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