手紙/由比良 倖
 
らい悲しいとき
どうかあなたは僕の中のシグナルを
奪ってください

さようなら
笑みと笑み
十月の中の白い、張り詰めた息

十月の空の中で、あなたを見付けたら(多分、お見かけできると思うのです)
僕はきっと歌を送ります
思いっきり
デジタルな歌を、ノイジーなギターを
レコード盤にして、風に乗せて

でも、今はまだ、さようなら
消失の中では
未知だけが真実ですね

僕がこの世の向こう側で
笑みを「ハロー」っていう電波で
あなたに送れる日まで

そのときまでは、さようなら

僕の中の精一杯の
笑みを
この手紙に込めて。
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