スナップ・ブック/由比良 倖
 
手の平に載せると、それは、粉っぽい空の光を反射して、傷付いた虹の色を散乱させた。道路の右側には大きく「右」と書かれていて、左側は白い虫の死体のように見えた。

Uの道路はだだっ広く、雨が降ると、路面は、まるで女の子の背中のように滑らかに光って、その背中は、天からの恵みを、一身に受けているようだった。

Fではテクノロジーの匂いがした。すみれ色のプラスチック。

赤い爪を噛んだ。Yの店で厚紙のようなケーキを食べた。私は瓶の妖精を見たような気がした。椅子の背に沿ってなだらかに、黄色いフィラメントが貼られていた。

ダークライト。遠くにあるので台形に見える、地中の日暮れ。
Yの街では木製の二階建てバスに、梯子を使って上った。
刑務所みたいな観光地だった。看板は青いアルマイトで。

私は寝入り端に理数系のジョークを作る。宇宙として産まれるという一大仕事が終わったのだから、眠たげな、宇宙を突き抜けて、あるいは……
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