大仰なビブラートで歌い上げたあとでほんの少し後ろめたい気持ちになる/ホロウ・シカエルボク
愉快な話が夕刊の一面を飾り、行き着くところまで行ってしまった、サイエンティストは次作の時限式ギロチンでこの世からおさらばする、希少価値のある珈琲が豆のまま傷んで、辺り一面狂人の頭部を開いたような切ない臭いが充満している、警官は銃口を覗き込み、ポリスはシリアスに偏り過ぎた歌を叫んでいる、ラジオのボリュームを下げろって、パンクロッカーが歌った歌謡曲が、リノリウムの床で90年代の思い出を掘り起こす、レプリカントは理由を欲しがって地区で一番のレストランのポリバケツをひっくり返している、このご時世、ポリティカルなんてその程度の意味しかないのさ、ミステリーツアーのあとで草臥れたカブトムシの死体、気まぐれに
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