無題/由比良 倖
 
攻めてきたので
僕は見ていればよかったんだ
赤い人たちがぬかるんだ地面を
生身の水晶体で
そっぽを向いた宇宙から

どこに行くかなんて
うじ虫
みたいな考え

僕の傷口に集結してよみんな
五色の月に腕を放って(自滅シール付)

ごめん
糸を抜いて……


夜になると
蛍光虫が
夢から溢れ出した

ドアの向こうには何もない
何もないなんて
産まれる前からのこと

虫たちとの別離をはかった
瞬間から
感応

し始めていたんだよ

だれが宇宙
飛行士だなんて
分からない??

だから
だから
だから


二時.、草の時間
二百次元目、蟻の時間
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二拍子、脳みそをつぶす
軸の時間、隔絶の時間
秋の時間、広い時間

長い時間
名付け親だったあなた
四画、顔面

僕は離れていく
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