陽の埋葬/田中宏輔
しは、本を開いたまま自慰をした。
(かさかさ)
足下で、なにか小さなものが動いた。
それは、写真のなかの少女だった。
彼女は、わたしの腕ほどの大きさしかなかった。
逃げ去るようにして、少女は部屋から出ていった。
わたしは本を置いて、彼女の姿を追った。
隣室の扉が開いていた。
入ってみた。
やはり、ここも、わたしの部屋と同じだった。
ベッドしかなかった。
いや、そのうえに、あの裸の少女が寝ていた。
と、思ったら、
それは、波になったシーツの影だった。
(かさかさ)
振り返ると、
さきほどの少女が
半開きの扉の間を走り抜けていった。
廊下に出て、隣室の扉を開けると
あの写真で見た部屋だった。
部屋の真ん中に、木でできた椅子があって
そのうえに人形のように小さな少女が立っていた。
あの写真と同じように、裸のまま後ろ手に縛られて。
わたしは、少女を、頭からゆっくりと、呑み込んで、いった。
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