温度 (旧作)/
石村
ばくてりやがズルズルしてゐる
海はつめたい
人魚も星のやうに震へる
そして都会には温度がない
人々はコゴエもしない
あいかはらず海はつめたい
先カンブリア紀の地層もつめたい
なにもかもつめたい
そして都会には温度がない
つめたい天体の子宮に位置する
都会にはどうにも温度がない
人魚のクサメさへきこえない
皆宝石のやうに睡り
気付かれぬ
永遠の海の家の
永遠
(一九八九・十二・七)
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