がらんどうの部屋の抜殻/ホロウ・シカエルボク
 
ったのだ。真実は常にここにあって、圧倒的に展開され続けているのだから。結論を持つことは一般的には賢いことだという認識がある。だから誰も彼も、一番飛びつきやすい、わかりやすいものに飛びついて安心したがる。でもそれは、一番簡単な部分だけを飲み込んでわかったような気になっているだけなのだ。そういう風に生きれば楽なのだろうけれどとてもそんな風に生きる気にはなれなかった。そういう、いわば安直さにすがって生きている人間たちがどうにも見苦しく見えたからだった。終いには人の話も聞かず、俺の方が正しいという態度のやり合いになる。それはとても馬鹿げている。真実ごっこをやりたいわけではないのだ。むしろ真実なんてどうだっ
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