意識の葛藤/ひだかたけし
 
消滅はせずに
只々平板になっていくもの
追いかけても追いかけても
追いつけない次元に
後ろ手付いて息を吐く

反復の内にあり変わる明度
記憶はあくまで凍結され
思い出したように不意にまた
凝縮された映像の写る
そこに居るのは他者なのか
それともあくまで他人なのか
内なる舞台で踊る人
抱きしめようとする両手を
するりとかわし逃れいく

 (見上げれば
 高みの青は揺れに揺れ
 白い巨鳥の天を行く
 明滅するこの意識
 仄か影が付きまとい
 言葉は未だ掬われず)

消滅はせずに
只々遠くなっていくもの
追いかけても追いかけても
追いつけない現に
後ろ手付いて息を吐く







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